肝臓の働き P450とは 解毒 血糖値の調整 ステロイドホルモン 沈黙の臓器
肝臓は,何をしているの
肝臓について少し述べてみましょう。肝臓は内臓の中では一番大きく,また生命の維持に必要な多くの重要な働きをしています。肝臓のことをよく「体内の化学工場」に例えますが,その名のごとく,アルブミンなどの蛋白質や,脂肪,ブドウ糖などを合成をしたり,不要になったアミノ酸を分解したり,有害物質を排泄したり,薬物代謝やアルコールを解毒したりなど,まさに化学工場の名にふさわしい働きをしています。薬物代謝に関しては,P450
と言われる一群の酵素があり,薬の薬効や副作用に関係し,この酵素の強弱により,個々の人の薬の適量が変わってきます。その他にも数え切れないほどの仕事をしています。たとえば,糖質をグリコーゲンという形に変えて蓄え(貯蔵),体に糖分が必要になるとこれを分解し血中にブドウ糖を放出します(血糖値の調整)。また,蓄えられた脂質からはコレステロールが作られ,細胞膜やステロイドホルモンの原料となります。更に,胆汁という消化液を産生し,脂肪の消化吸収を助けます。また,凝固因子と言われる,出血を止めるいくつかの物質を作っています。肝硬変などで肝臓が悪くなると出血しやすくなるのはこのためです。このように,肝臓は多くの大事な役割をになっています。昔から,大事なことを「肝心(肝腎)なこと」と言いますが,肝臓の肝の字が使われる理由がここにあります。
また肝臓は予備能力が高く,重症になるまでなかなか症状が出ない事が多く,「沈黙の臓器」とも呼ばれています。普段から健康診断を受け,肝臓に負担がかかっていないかを調べておくことが大切です。
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