1型糖尿病とは 2型糖尿病とは 妊娠糖尿病

糖尿病とは

 このように,インスリンの働きにより,細胞はブドウ糖をエネルギー源として利用することができ,同時に血糖値をほどよい値に調節することも可能になります。しかしながら,この働きがうまくいかないと,様々な不都合がおこってきます。その代表的な病気が糖尿病です。糖尿病には,いくつかの種類がありますが,1型糖尿病と2型糖尿病が最も重要です。1型糖尿病は,インスリンが膵臓から十分に出ないために,血糖値が上がることが特徴です。2型糖尿病は,インスリンが鍵穴に入っても,ブドウ糖を取り込むためのステップに進まない状態です。1型糖尿病は,多くは免疫の異常より起こり,ウイルス感染等が誘因となることがあります。ブドウ糖をエネルギーとして利用することができないため,患者さんの多くはやせています。また,子供や若い人に多いのも特徴です。これに対し,2型糖尿病の人は,太っていることが多く,肥満をもたらす脂肪細胞から,体に悪さをするいろいろな物質が出ることにより,インスリンが十分な働きをすることができなくなっている病気と言えます(インスリン抵抗性と言います)。また,最近は過食で脂肪肝になったり,運動不足で筋肉細胞内に脂肪がたまることが,インスリン抵抗性に関与していることがわかってきました。このように2型糖尿病は,後天的な要因が発症に大きなウエートを占めますが,もともと食事をした時のインスリンの出るタイミングが遅い人が多く,先天的な素因も関与しているようです。膵臓のβ細胞は,最初のうちは,効果の低下したインスリンの作用を補おうと,より多くのインスリンを出して対応しますが,そのうちβ細胞が疲れ果て,結局インスリンの分泌が悪くなってしまいます。また,日本人を含めたアジア人は,もともとβ細胞がインスリンを出す能力が欧米人より低く,あまり太っていなくても2型糖尿病になることがあります。
 特殊な糖尿病として,その他の特定の機序,疾患によるものや,妊娠糖尿病があります。前者には,特殊な遺伝子異常によるものやホルモンの異常など,種々の原因があります。妊娠糖尿病は,妊娠してから初めて発症する糖尿病です。妊婦さんが糖尿病になると胎児に奇形を含めた様々な影響を与えますので,慎重な対応が必要です。

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