洞性頻脈とは 洞性徐脈とは 洞不全症候群とは 上室性期外収縮とは 心室性期外収縮とは 心房細動とは 完全房室ブロックとは
不整脈について
成人の場合,安静時には1分間に50〜100回電気刺激が洞結節より出されます。この刺激の出方が多い場合や少ない場合,また,洞結節から出ないで他の場所から出る場合や,電気刺激の伝わり方の異常(遅れる場合や伝わらないなど)を全て不整脈と言います。
洞性頻脈・洞性徐脈・洞性不整脈 1分間に100回以上洞結節より刺激が出ている状態を洞性頻脈と言います。精神的不安定・自律神経失調・甲状腺機能亢進症・脱水・心不全等でみられます。薬剤の副作用で起こることもあります。50回より少ない洞性のリズムを洞性徐脈と言います。自律神経失調・甲状腺機能低下症でみられます。運動選手などで心機能が鍛えられて1回に送り出す血液量の多い場合は回数が少なくてすむので洞性徐脈になることもあります。また,睡眠中は一般に脈拍数が減少し,洞性徐脈となることもあります。脈は正常でもわずかに呼吸による変動がありますが,0.16秒以上の変動がある場合を洞性不整脈と言います。迷走神経(脈を遅くするほうの自律神経)の鍛えられた若い人や運動選手によくみられます。
期外収縮 通常より早いタイミングで起こる心臓の収縮を期外収縮と呼びます。心房が原因で起こるものを上室性期外収縮,心室が原因で起こるものを心室性期外収縮と呼びます。一般に,期外収縮では十分に心室内に血液がたまらないうちに収縮が始まりますので,脈とならず,「脈がとぶ」というふうに感じます。上室性期外収縮や心臓に異常のない場合の心室性期外収縮は,命にかかわらないものが多く,動悸や不安感などの自覚症状が強くなければ治療をしないのが一般的です。逆に心筋梗塞後や心筋症,弁膜症,などの基礎疾患があり,期外収縮が心機能に悪い影響を与える場合は,治療が必要な場合があります。
心房細動 1分間に300〜500回の電気刺激が心房の心筋からみられる状態で,心房は収縮することができず,心室の収縮も不規則なものとなります。高血圧・弁膜症・心不全・甲状腺機能亢進症・加齢等により起こりやすくなります。心房の補助的ポンプの機能がなくなるため,心臓の機能としてはやや低下した状態になります。治療としては洞調律に治す処置を行う場合と,心房細動のまま脈拍の調節のみ行う場合があります。心房細動の合併症として頻度が高いのは塞栓症です。血液の流れが悪くなるために心房内に血栓ができ,これが流れていって血管を塞ぎ,脳梗塞などを起こします。心房が拡大している方や高齢の方は,血栓を予防する薬を服用することが必要です。
頻脈性不整脈 心拍数が多くなる不整脈で,心房由来のものと心室由来のものがあります。心房由来のものには,上記の心房細動の他に,心房粗動・発作性上室性頻拍症がありますが,いずれも緊急性はありません。それに対し心室性の不整脈には,心室頻拍,トルサード・ド・ポアント,心室細動といった直ちに生命に直結するものがあり,緊急な対応が必要です。場合によっては,電気的除細動が必要です。最近自動除細動器(AED)が公共の場に設置されるようになり,一般の方も治療に参加する可能性が出てきました。
徐脈性不整脈 脈が少なくなる不整脈です。洞性徐脈・洞不全症候群・完全房室ブロック等があります。一般に伝導路の末梢に原因があるほど緊急性を要し,完全房室ブロックの多くは,ペースメーカーの使用を必要とします。
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