NASHとは 非アルコール性脂肪肝炎 インスリン抵抗性 生活習慣病 肥満 メタボリック症候群

NASHとは何ですか

 ちょっと横道にそれますが,γ-GT が上昇するアルコール性脂肪肝炎と似た病気の非アルコール性脂肪肝炎(non-alcoholic steatohepatitis:NASH)が注目されていますので,少しお話ししましょう。NASHは,アルコール摂取をしないにもかかわらず,アルコール性肝炎とよく似た組織像を示す肝疾患です。臨床的に重要な点は,通常の脂肪肝と異なり,肝炎から肝硬変へと進行し,肝癌も発生しうることです。発生機序としては,まず肝臓に脂肪が蓄積し脂肪肝の状態がおこり(first hit),その後様々な肝細胞障害性因子が作用すること(second hit)により,二段階の機序で発生するとする説(two hit hypothesis)がもっとも支持されています。症状はほとんどありませんが,時に倦怠感や右上腹部の違和感や疼痛を認めます。確定診断には,肝臓に針を刺して肝臓の一部を取り顕微鏡で見るという肝生検が必要で,それにより,炎症像や線維化が確認できます。しかし,肝生検は,患者さんに負担を与える検査ですので,通常は,インスリンが高値であること(インスリン抵抗性)やフェリチンが高値であることから推測します。また,腹部超音波検査等の画像診断では,肝臓の変形や脾腫(脾臓が大きくなることです)があると通常の脂肪肝より NASH を疑います。NASH は,糖尿病や肥満・メタボリックシンドロームを伴うことも多く,生活習慣病の一つと考えられますので,治療は肥満を是正する食事療法,運動療法が主体となります。

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