LDHアイソザイムとは LD/AST比 半減期 サブユニット

LD のより有用な使い方

 LD はHとMと名付けられた2種のサブユニット(構成単位)があわせて4つあつまった4量体です。HとMの数によって,名前が次のように付けられており,存在する場所が異なります。このような分類をアイソザイムと呼びます。
LD1 型(H0M4),LD2 型(H1M3),LD3 型(H2M2),LD4 型(H3M1),LD5 型(H4M0)
どの LD が増えているかによってどのような細胞由来の LD かということを推定できます。更に,もう一つの逸脱酵素である AST との比(LD/AST 比)を組み合わせることにより,より確率の高い推測が可能となります。
1型・2型優位で,比が10以下なら心臓由来,比が20以上なら赤血球由来
2型・3型優位で,比が20以下なら骨格筋由来,比が20以上なら白血球由来
3型・4型・5型優位で,比が10以下なら骨格筋由来,比が20以上なら悪性腫瘍由来
  5型優位で,比が50以下なら肝臓由来,比が10以上なら悪性腫瘍由来
というように,LDアイソザイムとASTを組み合わせることにより,上昇の原因となっている臓器がわかり,病気の診断の一助となります。
 ところがややこしいことに,それぞれの型で血液から消失する早さ(半減期)が異なります。1型・2型は半減期が70時間以上ありますが,5型は10時間に満ちません。その結果,病初期では上記の分類通りであっても,時間がたつと血液中からの消失が遅い1型と2型が増えてしまうのです。このように,発症からの時間を考慮して臓器を推定しなければいけない難しさがあります。
 現在では,様々な血液検査が存在し,画像診断も発達していますので,このように複雑なことを考えなくても診断ができることが多く,古典的な利用法と言えるかもしれません。

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