心筋梗塞とは 自己免疫性溶血性貧血 遺伝性球状赤血球症とは 悪性貧血 無効造血 ハプトグロビンとは

LD の上昇する病気

 LD の上昇する代表的な病気について簡単な説明をしてみましょう。
 心筋梗塞 心臓の冠動脈が閉塞し,心筋の一部が死んでしまう重篤な病気です。LD の上昇は他の検査所見と比較して最も遅く始まり,約1〜2週間続きます(47頁参照)。
 溶血 赤血球が壊れることを溶血と言います。成熟した赤血球が壊れる自己免疫性溶血性貧血や遺伝性球状赤血球症が主たるものですが,悪性貧血のように赤血球ができあがる前に骨髄中で壊れてしまう無効造血と言われるタイプもあります。溶血の場合は,ヘモグロビンを処理するハプトグロビンが低下しますので,他の疾患との鑑別が可能です。採血後に試験管内で溶血することもあり,病気と勘違いしないようにしなければいけません。
 急性肝炎 ウイルス等により,肝臓に炎症が起こる病気です。AST や ALT とともに,LD も上昇します。AST や ALT に比し,LD の上昇が強い時は,肝炎の重症化や劇症化の兆候とも言えます。一般に肝疾患では,LD5 > LD4 ですが,転移性肝癌では逆に LD4 > LD5 になると言われています。
 癌 癌細胞は,細胞が遺伝子変異を起こし,かってに分裂と増殖を始めた細胞です。癌組織には増殖する細胞だけでなく,崩壊する細胞も多いため,LD が上昇します。

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