肝臓のエコー アルコール性肝炎 肝嚢胞 血管腫とは

肝臓のエコー

 近年,非常に増加している疾患に脂肪肝があります。脂肪肝は肝臓に脂肪がたまった状態で,過栄養・肥満・アルコールなどが原因となっています。脂肪肝は,高エコーに見えるのが特徴です。アルコールによるものは,血液検査でγ-GT が著明に上昇しているのが特徴です。断酒により,諸検査の異常は比較的速やかに改善しますが,脂肪肝が更に進んだアルコール性肝炎の方は,改善に時間がかかります。過栄養による脂肪肝は,以前は予後の良い疾患と考えられていたのですが,最近その一部に慢性肝炎,肝硬変と進行していくものがあることがわかっており,NASH と呼ばれています(38頁参照)。
 肝臓に腫瘤を形成する疾患は,様々あります。肝嚢胞は,表面が平滑なきれいな形をし,均一な液体が中を満たし,低エコーに写ります。治療の必要はありません。血管腫は,肝臓の良性腫瘍の中で最も多いものです。エコーで見ていると,時間とともに輝度が変わっていくのが特徴で,カメレオンサインとも呼ばれています。血管腫も特に治療を要しません。肝細胞癌は種々の濃さの腫瘤として見られます。低分化型の肝細胞癌では,ダイナミック CT では,早期に造影される腫瘍として写ります(詳しくは,84頁参照)。肝細胞癌の大部分はウイルス肝炎・アルコール性肝炎・NASH 等の基礎疾患の上に発生しますので,これらの疾患を持っている方は,血液検査に加え,エコーでの定期的な観察を必要とします。

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