胃内視鏡検査とは 胃カメラの検査 ファイバースコープ付カメラ 電子スコープ 経鼻内視鏡

内視鏡検査

 昔から胃の中を実際に見て病気を見つけたいという気持ちは多くの者が持っていました。19世紀になってドイツで初めて内視鏡が開発されましたが,これは硬い棒を胃の中につっこむもので,とても実用化には至りませんでした。本当に実用性のある内視鏡が開発されたのは,日本人の手によります。戦後間もない頃,柔らかい管の先に極小のカメラを付けた内視鏡が開発され,写真で胃の中を見ることができるようになりました。その後,グラスファイバーが開発され,それを使って映像を取り出すことができるようになり,リアルタイムの観察が可能となりました。更に,ファイバースコープ付カメラが開発され,撮影部分が接眼部に移りました。胃にカメラを入れることはこれによりなくなりましたので,これ以後は本当は胃カメラではないのですが,昔からの習慣で,今でも胃の内視鏡のことを胃カメラと呼んでいます。内視鏡は更に進歩し,電子スコープが開発されました。これは,内視鏡の先端に CCD を組み込み,光信号を電気信号に変え,ケーブルにて画像情報を伝える機器です。これにより,画像をテレビに映し,複数の者が同時に観察することもできるようになりました。この間,内視鏡径を細くする努力がなされ,数十年前に1cm 以上あった直径が,機種によっては5mmになりました。最近は,鼻から挿入する内視鏡も使われるようになり,咽頭不快感がないことは患者さんにとって大きな利点となっています(写真は,右側より大腸内視鏡・経口内視鏡・経鼻内視鏡を示します。鉛筆の太さと比べて下さい)。
 内視鏡検査の利点は,直接病変を見ることができることです。その上,病変の一部を鉗子でつまんで採ってくることができ,組織を顕微鏡で見ることにより,癌かどうかの確実な診断が可能です。更に,最近は病変を全部内視鏡で切除してしまうという内視鏡治療の技術も発達してきました。
 内視鏡による治療について少し述べましょう。ポリープのように出っぱった病変を採るのは,簡単に焼き切れますので問題ありません。では,胃の壁に埋まった病変をどのようにして採るのでしょう。実は,大変おもしろい方法が開発されているのです。それは,病変の下に液体を入れ,病変を持ち上げてポリープのようにする方法です。これなら,簡単に焼き切れます。内視鏡による治療の一つに,止血があります。止血剤を局所に注入したり,熱で出血部を焼いたり,クリップで留めたりなど,内視鏡による止血法にはいろいろあり,これまで開腹手術をしないと救命できなかった患者さんが,管を飲み込むだけですむようになったのですから,ものすごい進歩です。

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