無散瞳眼底カメラとは 直像鏡検査 倒像鏡検査 生体顕微鏡 眼底写真とは

眼底検査の方法

 検査の方法には,直像鏡検査と倒像鏡検査があります。直像鏡検査は,直像検眼鏡という器械を検者が片手で保持し,非接触で患者さんの眼底をのぞきます。検者が右眼を使う時は,患者さんの右眼を観察します。拡大して見えるのですが,視野が狭く,観察範囲が限られ,全体像が把握しにくく隅々まで観察できません。倒像鏡検査は,検者が一方の手に光源を持ち,もう一方の手に持った集光レンズ(凸レンズ)を通して,患者さんの眼内に光を当てます。光の当たった場所を集光レンズに拡大して観察します。拡大率は低いのですが,広い視野で網膜の隅々までみえます。この2つを組み合わせて眼底を調べますが,直像鏡検査は患者さんと検者の距離が接近していて,場合によっては頬が接触することがあり,これはお互いに好ましくありません。それで,最近は直像鏡検査のかわりに,生体顕微鏡を用いて解像力の高い接触型レンズを患者さんにはめて網膜を精密に調べるのが,一般的になりました。レンズ着用の際には目薬で麻酔をしますので,痛みを感じることはありません。頬が接触することもありません。
 眼底は,瞳孔(瞳)を通して観察しますが,瞳孔は光を当てると小さくなる性質があり,網膜を隅々まで観察する妨げになります。詳細にそして隅々まで調べる場合には,瞳孔を目薬で広げる散瞳が必要です。目薬をつけてから散瞳するまで約20分位かかり,検査のあと散瞳状態がもとにもどるのに5〜6時間かかります。検査後しばらくまぶしく感じたり,近くを見るのが不自由になりますので,その間は自動車の運転はさけていただきます。
 眼底を検査する機器に,眼底カメラというものがあります。眼底写真の利点は,写真という記録が残りますので,複数の専門家が結果を検討したり,経時的な変化を追うことが可能なことです。眼底カメラの中で,簡便さから内科や健康診断でも使われるのが無散瞳眼底カメラです。暗室である程度散瞳させた後に,フラッシュを当て眼底写真をとります。光を当てた直後に縮瞳しますが,撮影の後なので関係ありません。散瞳薬を使わないので,検査後の視力的不自由はありません。欠点は,散瞳が不十分のため網膜の中央部分しか撮影できないことです。糖尿病性網膜症をはじめいくつかの疾患は,網膜の周辺部より病気が始まるので,眼底写真で異常が見つからないから安心とは言い切れない面があります。すでに糖尿病等の眼科的異常を来す可能性の強い病気を持った方は,眼科での眼底検査と組み合わせたり,時期を変えて交互に行うなどすると,効率よく病気の経過を追うことができます。
 眼底検査は,眼科疾患はもちろん,内科的疾患を含めた健康管理に有用ですので,40才をこえたら,毎年定期的に眼底検査をうけることをお勧めします。

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