老人性難聴 突発性難聴とは メニエール病とは 補充現象 音響外傷 小脳橋角部腫瘍 補充現象とは

聴力の低下する状態と病気

 聴力が低下する最も多い原因は老人性難聴です。加齢による難聴の特徴は聴力検査では8,000Hz や4,000Hz といった高音部から障害されてくることです。進行してくると低音部まで障害され,日常会話に支障を来します。
 突発性難聴は,突然に一側の聴力が低下する原因不明の疾患で,眩暈を伴うこともあります。この病気は,速やかに治療することが何よりも大切で,放置しておくと,高率に永久的聴力低下を来します。一般に,急速な聴力低下を起こした時は,早急に耳鼻咽喉科を受診することが勧められます。
 メニエール病も難聴を来す有名な病気です。最初は低音域が障害され,繰り返すうちに高音域の難聴が主となります。補充現象といって,小さい音は聞こえず,大きな音は極端に大きく聞こえるというアンバランスが起こります。発作中は,患者さんにとっては,難聴より眩暈の方が大きな苦痛となり,目を開けていられないような状態が何日も続くことがありますが,何度も繰り返す内に難聴が進行し,最終的には難聴の方が問題となります。なお,平衡感覚を司る三半規管は,内耳の一部ですので,難聴と眩暈は本疾患に限らず,しばしば合併します。
 コンサート等で大きな音を聴くと音響外傷が起こり,耳が詰まった感じと聴力の低下が起こります。音楽を聴く場合,ヘッドホンを使用すると高周波数の成分の減衰が悪いので,より音響性難聴を起こしやすいと言われています(音響性難聴は,音の大きさ・時間・周波数に依存します)。耳掃除のあとの聴力低下は,耳あかを奥へ押し込んだ可能性を考えます。飛行機の着陸時に急に耳が詰まった感じになり,その症状が続く場合は滲出性中耳炎(鼓膜が奥にへこみ中耳腔に分泌液がたまる)になっている可能性があります。
 慢性的な疾患として小脳橋角部腫瘍があります。片側の難聴を起こすことで発見されることが多く,放置すると命に関わってきます。慢性的な騒音による難聴では,4,000Hz を中心とした高音域の難聴が起こります。当初は会話には支障ありませんが,進行すると他の音域にも難聴が広がってきます。

検査解説案内に戻る

kensanosankousho