内臓脂肪 動脈硬化とは 腹囲

太るとなぜ悪い

 最近,肥満は万病のもととも言われます。太ってくると体全体に血液を送っている心臓の仕事量がふえて心臓病が起こりやすくなります。また太るもとになる甘いものや脂っこいものを摂り過ぎると血液中に脂質がふえ,血管壁に蓄積すると血管が硬くなり高血圧を起こしやすくなります。また食べたものをエネルギーとして利用するために必要なインスリンが働きにくくなって糖尿病を起こしやすくなります。このように,肥満は血管系疾患や代謝性疾患に深く関与しており,肥満の人はそうでない人より糖尿病は約5倍,高血圧症は約3.5倍,心疾患は約2倍もかかりやすくなります。
 最近,内臓脂肪が動脈硬化に大きな影響をもたらすことがわかってきました。動脈硬化は,血管壁の中にコレステロールを中心とした脂肪が蓄積され,血管壁が硬くなると同時に血管内腔を狭くして,血の流れが悪くなった状態です。進行すると,脳梗塞・心筋梗塞等の重篤な病気を引き起こすことがあります。内臓脂肪からは,様々なホルモンが出ており,その多くが,動脈硬化を促進するホルモンです。内臓脂肪を減らすことが健康維持に重要であると言われているのはこのためです。内臓脂肪の量を測る最もよい方法は,CTスキャンで臍のレベルでの内臓脂肪の面積を測定することです。この面積が,100 cm2 以上あると,内臓肥満と言います。ただ,通常の診療で肥満の種類を知るためだけに高価な CT を撮ることはできませんので,臍の高さの腹囲を計ることで,内臓肥満を判断します。腹囲が,男性の場合は85cm 以上,女性の場合は90cm 以上を内臓肥満と診断します。女性の場合は,皮下脂肪が多いので,内臓脂肪のみの量を予測する場合は,腹囲は男性より大きな値となります。ただ,この腹囲の基準値には疑問を呈する専門家も多く,今後変更される可能性があります。

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